グランプリ出場選手のココがすごい!

ボートレース界の一年間の集大成であるSGグランプリ。 そのグランプリ出場選手がどれだけすごいのか?
ボートレーサーの上位20%であるA1級レーサーと、2020年の勝率・優勝回数・生涯獲得賞金・グランプリ出場経験者数・通算SGタイトル数の5項目で徹底比較。
SGレースは「大舞台」。ファン投票、成績順、各場の推薦など出場条件は各レースによって異なるが、その全てが高いハードルだ。SGでの優勝は「SG覇者」として歴史に名を刻める。そのためA1級レーサー全体でもSGタイトル保持率は約20%と決して多くない。平均値にすると一人あたり0.5冠だ。対して、グランプリ出場選手はほぼ全員がSG優勝を経験しており、平均3.5冠。なんと平均的なA1レーサー約5人分という驚異的な数字である。

近年一番SGを勝っている毒島がグランプリ初Vへ

最高峰の舞台に立つ選手18人のうち、11人が2回以上SGで優勝している。そんな真の実力者の中でも、毒島誠(群馬)は歴代12位タイのSG7Vで、2017年以降の6Vは最多記録を持つ。今年も気がつけば4年連続SG制覇に、3年連続トライアル2nd発進の活躍である。グランプリは6回出場して5回優出も、準V2回と黄金のヘルメットに縁が無い。当地はGⅠ制覇もあるが、6年前の平和島グランプリでは優出を逃している。さらに直前の平和島周年では自身5年ぶりのフライングもあった。しかしその後は、SGダービー準優勝にGⅠとSGチャレンジカップで優勝とトップギアに入っている。グランプリ初制覇へ突き進む。
職業としてのボートレーサーの魅力のひとつは、高収入。平均的なA1級レーサーの生涯獲得賞金は7.7億円とそれだけでも夢があるが、グランプリ出場選手の平均的な生涯獲得賞金は12億円。彼らの賞金をミリオネアにのしあげるのは、優勝賞金1,000万円以上のSG制覇だ。中でもグランプリの賞金は1億円と、SGの中でも飛び抜けている。グランプリを制し、今年の賞金王となるのは誰か。

生涯獲得賞金38億円誇る王者が復権を目指す

グランプリ出場者とA1級レーサー全体の平均生涯獲得賞金の差は歴然だ。その中でも松井繁(大阪)は、歴代1位となる約38億円と異次元の数字である。だが史上最多23回目のグランプリ出場となる年末の顔が、ここ2年間はグランプリの舞台から遠ざかっていた。2014年のクラシック制覇を最後にSG優勝はなく、2017年のオールスターを最後にSG優出もない。しかしグランプリ出場を最大の目標として戦ってきた今年は、SGへフル参戦しGⅠで7優出と結果を残してきた。今回優勝することになれば、史上最年長となる50代でのグランプリ覇者となる。グランプリ3冠を含むSG12冠の王者が復活となるか。
グランプリならびにグランプリシリーズ出場への壁は非常に厚い。グランプリ出場選手のうち88%がすでにグランプリ出場経験がある。対してA1級レーサー全体のグランプリ出場経験者は約20%だが、その内訳のほとんどがグランプリ出場者もしくは惜しくもグランプリ出場ならなかったシリーズ出場者である。そんな中、グランプリに初出場するのが、今年SGダービーを初制覇した深谷和博・シリーズ戦での優出経験のある西山貴浩だ。グランプリ初出場初Vの奇跡はあるか。

グランプリ常連の菊地が
優勝戦のスタートを支配する

約1600人いるボートレーサーの中で、A1級になれるのは全体の20%である。さらにグランプリに出場するとなれば約1%と極めて狭き門だ。今回のグランプリ出場者の過去10年の平均出場回数は3.61と、いかに複数回出場している選手が多いかが分かる。菊地孝平(静岡)は過去10年でグランプリ6回出場と常連で、4回ファイナルに進んでいる。その4回全てでトップスタート、ゼロ台が3回もある。グランプリ優勝戦でのフライングには大きな罰則があるため、過去10年でゼロ台スタートを放ったのは菊地のみ。大一番でスタートのカギを握ることは間違いない。
A1レーサーともなれば、一般戦の舞台では優勝候補として名前が挙がる存在だ。そんなA1級レーサーの2020年の平均優勝回数は1.94回。そして多くのA1級レーサーがVを達成している。対してグランプリ出場選手の平均優勝回数は5.05回。V回数が多いだけでなく、SGやGⅠでも優勝を果たしていることが大きなポイントだ。2020年も数々のレースを沸かせた18名が平和島グランプリに集結する。

優勝戦の重圧をはねのけ峰が自在に栄冠掴む

優勝戦はフライングに対する罰則も厳しくなり、グランプリ出場選手はそれに打ち勝つ、強靱なメンタルを持ち合わせている。今年、優勝13回と断トツの成績を残すのが峰竜太(佐賀)だ。年間優勝回数2桁超えは2015年の笠原亮(静岡)の10回以来。今年のSGで1コース以外の優勝者は、鳴門オーシャンカップで4コース差しを決めた峰ただ一人である。さらに2020年はGⅡ以上で1コース以外から2回以上優勝と、大一番でイン以外で勝てる強さは頼もしい。6年ぶり4回目の平和島グランプリ。過去3回の優勝戦でイン逃げはない。誰よりも優勝回数を重ね、コース問わない決定力を持つ峰が、Vに最も近い。
A1級昇格に必要な勝率ボーダーラインは6.20前後。そのためA1級レーサー全体の2020年後期平均勝率はそれを上回る6.69だ。勝率は着順に対して付与された点数を合計し、出走回数で割って算出する。一般戦・GⅢの予選~準優までの場合、3着に与えられる点数が6点。(優勝戦、グレードレースはさらに1~2点プラスとなる)ここから、常に上位着を獲り続けることがA1級の条件だということができる。そのA1級レーサーの上位であるグランプリ出場選手の平均勝率は7.67と7点台後半。特に勝率トップの峰竜太は勝率8.76と5年連続の勝率第1位を走っている。

超安定走法の白井が
師弟悲願のグランプリ制覇挑む

グランプリ出場選手の勝率1位は8.73の峰竜太(佐賀)だが、今年はSG準優フライングの罰則で一般戦回りの期間があった。その点を考慮して、2位の8.31を残した白井英治(山口)に注目したい。今年の白井は1着率40.3%、2連率65.12%、3連率79.53%。215走して5、6着が20回と大敗の少ない超堅実戦でSG2優出、GⅠで6優出とコンスタントに活躍した。平和島グランプリと言えば、6年前にトライアル2ndから3連勝で優勝戦1枠をつかむも敗退。しかし、その後も2017~20年の当地GⅠ以上は4回中3回で優出と相性抜群の水面だ。引退した師匠の今村豊に賞金王で恩返しへ、気持ちも入っている。