2019年7月から初A1へ昇級を決め、
8月のPG1レディースチャンピオンにも初出場する藤原菜希選手。
現在の心境や今後に向けての意気込みなどについて伺いました。
- 2018年前期でA2昇級、2019年後期で勝率を一気に上げて(6.37)A1級に昇級しました。
- 7月からA1になりましたね。勝率を上げるように気にしていましたが、今年はとにかくPG1レディースチャンピオンに出場することを第一に走りました。結果、出場も決まりA1にもなれましたね。
前期より1つでも多く1着になること、6着を減らすように考えていました。目標がクリアできたことは素直に嬉しいです。
- 今年の3月に初優勝(G3オールレディース大村)しましたね。
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ここ1年くらい優勝しないと先に進めない感覚があったので、優勝したい気持ちが強くて焦っていました。
優勝した大村では優勝よりもレディースチャンピオン出場と勝率を稼ぐことを考えていたので、それがいい結果になったと思います。
優勝戦前に鼻血が出て、それで血の気が引いたのか、全く緊張せずに優勝戦に臨めました。 でも、1マークトップで抜けたところから記憶がなくて。キッチリ旋回しなくてはいけないと、考えすぎて訳が分からなくなっていました。
- そんな中でも優勝できてよかったですね。
- 本当に良かったです。ホッとしました。この優勝は自分にとって大きな1勝でした。
- その1カ月後の4月には平和島G3オールレディースで2度目の優勝をしました。
- 初優勝するまで時間がかかってしまったのですが、1度優勝してしまえば、感覚を掴めたというか、2勝目はすぐにできそうな予感はしていました。優勝することは簡単なことではないですが、なんとなく今まで優勝したくてもできなかったモヤモヤがスッキリしたんですよね。
- 期末のA1勝負駆けでもありましたね。
- この平和島は、地元だし、A1勝負駆けだし、平成最後のレースだしやっぱり、気合が入っていたんですね。
それを師匠の阿波(勝哉)さんは分かっていたのか、前の日にLINEで「A1勝負駆けもあるけど、今はレディースチャンピオンのことだけを考えていつも通りのレースをしたらいい」って言ってくれました。気合を入れるのではなく、入りすぎた気合を緩めてくれる人の存在はすごくありがたいです。それで一気に力が抜けましたね。優勝できたのもこれが一つの要因だったと思います。
平和島の水面は好きですし、モーターも良かったです。結果的に優勝できて、勝率も上げることができA1級に昇級できました。
- 平均スタートタイミングが0.13と早いですが、レーススタイルが確立してきた?
- 期初めにフライングしましたが、しっかり早いタイミングでまとめられましたね。
以前は他艇より少しでも先にという思いが強かったです。でも最近は自分のいける範囲で、キッチリ全速でいこうと意識していた結果よくなりました。
どのレース場でも「スタートが見えている」とコメントしていたら、気持ちもノッて良いレースをしていますね。
- 阿波選手に師事するようになった経緯は?
- 最初のキッカケはまだ持ちペラ時代のときに、阿波さんがF休みに入るので、「チルト3度用のプロペラを作ってあげるよ。使う使わないは自分で判断して、こんなプロペラもあるんだというのも知っておいてもいいんじゃない」と言っていただいて。プロペラ制度が変わるのは決まっていましたし、自分にとってはこんな貴重なことはないので、制度が変わるまで阿波さんに作ってもらったプロペラを使うようになり、そこから面倒をみてもらうようになりました。
自分は昔から他人の意見をそのまま聞いてやるのではなく、自分で考えてやりたいタイプなんですね。でも阿波さんに色々見てもらっているうちに阿波さんの言っていることは素直に聞けると思ったんです。今までの人生で初めてかもしれません。言葉数は多くないですが、一つ一つが響くというか自分に合っていたんですね。持ちペラ制が終わっても、まだまだ教えてもらいたいことがたくさんあったので今も面倒を見てもらっています。
- 尊敬するところは?
- 自分のスタイルを貫き通しているところです。一本筋が通って男らしい。
オーナーペラ制度になってこれだけ苦戦を強いられているのに、どこまでも追及する姿勢はすごいと思います。ああしたら、こうしたらって楽しそうに、研究されています。
自分的にはインコースに入っている阿波さんを見てみたいですけどね(笑)。絶対強いですもん。
- 念願のPG1レディースチャンピオン出場が決まりましたね。
- ホッとしました。嬉しかったですね。昨年末のクイーンズクライマックスは平和島だったのに出場できなくて悔しかったので。年末のクイーンズに出るにはレディースチャンピオンは外せないレースなので、出場したかったですね。
- 今年の舞台であるボートレース蒲郡の印象は?
- 乗りやすさは良いイメージがあるんですけど、スタート勘が合わないことが結構ありますね。スタート命なのでここが合わせられるかどうかです。
- 東京支部からは4人出場しますね。
- そうですね、4人でしっかり頑張ってきます。
- どんなレースを見せてくれますか?
- 思い切った、盛り上げられるようなレースをしたいなと思います。
もう、気合パンパンで行くと思います。なのでレディースチャンピオンへ行く前に阿波さんに気合抜いてもらえませんかってお願いしていて、ご飯を食べに行ってもらう約束しました(笑) 。
- この大舞台で活躍すれば一気に名前が売れて、レディースオールスター出場も見えてきます。
- これで選ばれなかったら整形しようかなって(笑)。富樫(麗加選手)みたいな顔に。
- エッ、整形?!
- 可愛い子が選ばれるじゃないですか。なので、阿波さんにも来年選ばれなかったら整形しますって言ったんですよ。そしたら「レースで魅せてこい」って言われました(笑)。
- 阿波さんのおっしゃる通りですよ!
- そうですか? 整形した方が早いですよ(笑)。ガッシー(富樫麗加選手)の顔になります(笑)。
- 2008年に空手の世界チャンピオンになった経歴をお持ちですが、なぜボートレーサーの道へ?
- 空手を続けたいとは考えてなかったんですよね。指導者にも向いてないですし。大学生でいよいよ進路をどうしようかと考えていたときに高校の後輩がボートレーサーの試験を受けたと聞いて、そんな道もあるのかと。そういえば高校生のころに母からボートレーサーになったらって言われたことあったなと思い出して。その頃は学校に1年間入るのが嫌だったので受けなかったんですが、よく考えたら空手は節目節目で辞めると言いつつ15年やっていたので、1年くらい我慢できるなと。でも当時は20歳までしか受験できなくて、もう年齢を超えていてあきらめていたのですが、翌年年齢制限が伸びたと、さらに特別枠もあると。これは道が用意されたと思いました。職業として会社員になるのは嫌でしたし、勝負の世界でしかも男女の区別なく戦えるのは自分にとって魅力でしたからやってみようと思いました。
特別推薦枠で受験するには世界選手権3位とかではダメだと思っていたので、空手で世界チャンピオンになったとき「これで堂々と推薦枠でいけるな」って一番に思いましたよ。
推薦で入ったからにはボートレーサーとしてそれなりの結果を残さないといけないですよね。まだまだ満足できるレベルではありません。
- 藤原選手の満足とは?
- たぶんボートレーサーという職業に満足はないんじゃないでしょうか。だから面白い。優勝したり、いいレースができたときの満足はありますが、長い目で見たときどこまでも上を目指せますから満足することはないですね。
- 目標はありますか?
- 目標を持ったことがなかったんですよ。空手をしていたときも目の前の試合に勝つことだけを考えていたので、世界チャンピオンになりたいとは思っていなかった。 ボートレーサーになってからもそういう考え方でした。
でも優勝して、レディースチャンピオンに出場できる、またそこで優勝したら、SGに出られると思ったときにもっと上を目指したいと考えるようになりました。
後輩の大山千広、中村桃佳がSGを走っているのを見たら自分も出たい。それには自分がどこにいきたいのか、そこにいくためには何をすべきかを考えてないとダメだと。自分のできる範囲でまずは最近怠けていたトレーニングをするようになりました。今はレディースチャンピオンで優勝することを目標としています。
- 今年のレディースチャンピオンを優勝すれば、平和島開催の今年のPG1ボートレースバトルチャンピオントーナメントと来年のSGクラシックの出場権が得られますよ。
- マジですか! なおさら優勝したい!
めっちゃ平和島のSGとPG1いきたい。……でもまあ、とりあえず一走一走しっかり走って予選突破できるように頑張ります。